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ファイナンシャル・プランナーの相談室です。


by fp-clover

インフレの基礎知識

【 はじめに・・・ 】

 住宅ローン金利が史上最低となり話題となりましたが、現在の「低金利」・「円高」はいつまで続くのでしょうか?
 ギリシャから始まった欧州の金融不安は解決しておらず、日本や世界経済も先行き不透明です。経済の転換期に備え、インフレについて勉強していきましょう。

【 インフレとは・・・ 】

 インフレとは「インフレーション」の略で、物価(物の値段)が上がり続ける事を指します。同じ紙幣・通貨で買えるモノが少なくなるので、紙幣・通貨の価値が下がります。

 景気がよくて世の中も安定している経済状態では、物価は年間で2、3%上昇すると言われています。景気が良いために企業や個人の金回りがよくなり、それがモノに向かう為、物価の上昇がおこるという訳です。

 戦後の高度成長期の日本や、BRICSなど発展を続ける新興国はインフレ率が高く、先進国では安定しているのが一般的です。

 ただし、物価の上昇と同等以上に収入が上がれば生活水準は維持できますが、収入が上がらなければ生活は苦しくなります。この事を、不況下のインフレ=「スタグフレーション」と言います。またハイパーインフレになると生活に与える影響は深刻です。(右上参照)

 インフレの要因としては、モノが不足する事によって起こる実物的インフレと、世の中に「オカネ」の量が増える事によるインフレの2種類あります。

 現在では、金融危機により欧州や米国でお札を大量に刷っている〈量的緩和〉の状態と、干ばつなどによる食糧の高騰などにから、世界的にインフレになる要因が揃いつつあります。

【 ハイパーインフレとは・・・ 】

 第2次世界大戦後の日本やドイツ、近年では1997~98年のロシア、2008年頃のジンバブエなどでおこり、経済が機能不全になり通貨が暴落、短期間で物価が考えられない位のレベルまで上昇しました。

 実際にロシアでは、インフレによって物価が70倍以上に達し、100円で買えた牛乳が1年後に7,000円以上になりました。『100円ショップ』が一年後には、『7,000円ショップ』に代わってしまった、という事です。

〇ハイパーインフレ時には以下の対応策が考えられます。

 預金封鎖 : 預金の引出し制限
 デノミ  : 貨幣価値の切り下げ 等

 ジンバブエでは1兆ジンバブエ・ドルを1ジンバブエ・ドルに切り下げたものの流通せず、発行が停止になり、現在の取引は外国通貨が主流になっています。

【 インフレに対応するには・・・ 】

インフレ時の原則

①金利が上昇するので、変動金利型の商品を選ぶ

 ・金融商品 ⇒ 長期固定商品は避ける
 ・住宅ローンを固定金利に変更する

②紙幣価値が下がるので、現物資産を持つ

 ・金やプラチナなどの現物資産
 ・不動産
 × 過度なタンス預金は禁物

③その他資産運用

 ・インフレに強い企業の株式を持つ
 ・外国通貨を持つ 米ドル など

番外編:低価格高品質の必需品(衣類など)を準備しておく

【 まとめ 】 

 日本では、長引くデフレと歴史的な円高の影響で、今の所あまり物価高を感じる事はありませんが、食糧や原料などの多くを輸入に頼っている現状では、ひとたび円安に振れると、価格高騰の可能性を否定できません。

 次回は、インフレに強い資産運用についてお話していきます。
by fp-clover | 2012-09-01 10:30 | 金融